02nd 1月2012

2012年 新年のごあいさつ

by paco

(by paco)あけましておめでとうございます。paco恒例の、年始のあいさつです。元日に書いたのですが、もろもろあり、アップが遅くなってしまいました。

 

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2012年の年頭に当たって、2011年はどうだったのかといえば、なんと言っても3.11震災、それに続く原発事故によって僕の生活や活動がすべて変った、というのが正直なところです。よく、3.11は日本にとって明治維新並のターニングポイントになるという言い方がされますが、僕個人のことを振り返っても、まったく別の世界に入ってしまったかのような印象があります。

今日、2012年の元日という瞬間から見れば、震災からすでに9か月がたち、忌まわしい放射線の状況でさえ、もしかしたら思ったほどひどくないのかもしれないと、思えば思えてしまえるような雰囲気も漂っています。原発のことも放射能のことも、政治のことも、みんな気にするのをやめて、自分の仕事と生活だけに戻ってもいいのではないか、という気持ちさえします。

しかし、一方で、放射能の現実はまったく変っておらず、政府、というより、日本の支配者の質的劣化は目を覆うばかりです。しかし、その劣化から、目をそらしていいわけはありません。ここから目をそらせば、その結果、近い将来、自分と家族、次の世代を確実にひどいものにしていくだろうからです。

ということを考えると、「3.11以前」の2011年の年頭に何を考えたかは、今日の時点のこととは無関係と言ってもいいぐらいなのだと感じつつも、やはり去年のレビューから始めたいと思います。

■2011年のレビュー

昨年、2011年の念頭で宣言したことは、以下の通りでした。

(1)<おとなの社会科>で実績を出す
(2)ロジカルシンキングのアッパーグレードを充実させる
(3)右脳系(写真・エレキ・詞)の充実
(4)森の活動を進める

(1)~(3)はほぼ実現でき、(4)はまったく手つかず、というか、充実させることができませんでした。代わりに、原発問題とSNSまわりで大きな変化がありました。

(1)2009年6月に始めた<おとなの社会科>は、3年目に入って、新しい局面に入りました。従来の、paco主催のセミナーに加えて、企業研修としての採用が増え、セミナーと研修の2本建ての事業に育っています。まったく新しいカテゴリーを創造し、人を集め、事業として成立させるという当初考えていたことのひとつは、なんとか実現できました。まだ売上的には大きなオーダーにまではなっていませんが、ひとつの事業の柱にはなってきました。

そして2012年……という話は、後半で。

(2)ロジカルシンキング研修は、僕の仕事の稼ぎ頭であり、今年もたくさんの仕事をやらせていただきました。

標準カリキュラムのみだった、2010年と比べて、2011年はバリエーションが広がっています。上級編をつくるつもりだったのですが、実際には、やさしい入門編のニーズもあり、新入社員向けの3時間研修や事務職向けなど、従来より取っつきやすく、到達点もやや近いところにした研修カリキュラムも開発しました。一方で、実践的なものということで、受講者が自らつくった企画書やメールなどを持ちよって検討したり、業務の棚卸しをかねて、自分のやってきたことを論理的に説明する時間を組み合わせるなど、新しい研修も依頼をいただき、実施しました。このあたりは、近いうちに、新しいバリエーションをまとめて見本ページをつくる予定です。

(3)右脳系については、写真、特にフィルムの写真がすっかり撮影の中心になり、フィルムとデジタルの使い分けや、写真としての違いについてもかなり自分なりになれてきました。フィルムのよさを改めていくつも再発見したのですが、特に大きいのは、ラチチュードの広さです。デジタルでは、日陰と日向(ひなた)があるような被写体を撮る場合、どちらかしか表現できないのに対して(日向を写すと、日陰は真っ黒になってしまう)、フィルムでは工夫次第で両方が表現できる。コントラストが強くてメインの被写体ばかりが美しく写るデジタルに対して(それゆえ、被写体に見る人の目が集中して、きれいに見える)、フィルムでは全体が撮れるために、その中でどこに注目させるかが、さらに難しくなるなど、表現のしがいもわかってきました。何より、色や解像感がやさしいのがよいところで、細部までは写らないけれど、全体の印象をうまく固定することができます。

ギターも、師匠について、毎月2回、レッスンと練習を続けてきました。時間がとれないので、進歩はゆっくりですが、「弾けるようになる」こと以上に、引くことを通じて音楽に対する理解が深まるのが嬉しいことです。あ~このメロディーはこういう必然性があるのか、とか、美しいコードだ~とか。

さて、その上で、2011年、3.11以降、どうしてもやるべきと感じて始めたことを整理していおきます。

★facebookグループ【iwato】から、【エネこみ】へ

地震直後から、原発が危機的な状況だと言うことには気がついていました。事故そのものに対して、直接できることは何もないにしても、何もしないわけにはいかない。そんな気持ちで、原発問題について正確な情報を発信し、Q&Aを行うためのコミュニティをfacebook上につくり、【iwato】と名付けました。刻々と明らかになる最新の事実をアーカイブし、メンバーと質疑を行って状況を整理して、69名のメンバーと問題意識を共有しました。

この活動の核のひとつが、「オトラジ(otoshaラジオ)スペシャル」と名付けて毎日20分程度、mp3の音声で日々の状況を解説した活動です。地震直後から6月7日まで、77回にわたって放送と続けました。この活動を通じて、進行中の事態に対する理解を深めた方が多くいたと思います。
http://www.otosha.com/column-1

【iwato】は、完全クローズのグループとして、安心感のあるコミュニケーションの場を提供したのですが、その後、7月からは公開の場をつくり、【エネこみ】として発展的に活動を広げました。
http://www.enecomi.com/

【iwato】、【エネこみ】を通じて、リアルミーティングも6回行い、関心のある人たちにレクチャーすると同時に、Q&Aセッションを行って、ともになにをしていけるか、本質的な理解を深めました。

現在、【エネこみ】の「厳選」ページ
http://enecomi.com/wordpress/?cat=10
の執筆を続けていて、ほどなく完成する予定。この記事を共通理解としている人たちに新たに集まってもらい、2012年の活動をスタートする計画です。原発問題も、エナジーシフトも、それを行うための政治のシフトも、何も現実になっていない現状を変えるために、大人たちが動く必要があります。

ということで、2011年は当初の目標のうち、森の活動に割く時間の代わりに、原発問題、エナジーシフトに時間を使って、道半ば、という状況です。

ちょっと別の話になりますが、デジタルハリウッド大学で「環境問題と持続可能社会論」という講座をもてたことも、実は大きな意味がありました。この講座は、タイトルからいっても内容からいっても、僕が長年やりたかったテーマそのもので、だからこそ、毎回必死に準備し、講義を行ってきました。学生諸君も難解な内容によくついてきてくれました。僕としては、この講義ができただけでも、満点をあげたいぐらいの2011年でした。

■2012年、<おとなの社会科>と【エネこみ】をどこまで進められるか?

今年の目標を端的に整理したいと思います。

全体として考えていることとしては、今年から10年かけて、「原理原則に立ち、大きなスケールで構想をつくって行動する日本人」をつくることを目標にしていきます。

(1)<おとなの社会科>は「戦略思考、原理原則思考ができる人材の育成」を目標に、セミナーの集客に力を入れる。

これまでの<おとなの社会科>で、「知識とメカニズム」については、つかめた受講者が増えてきました。とはいえ、まだ数は少ないのが現状なので、数自体を増やす必要があります。セミナーへの集客をふやし、世界を見る洞察力を持った人を増やしていきます。

その一方で、自ら未来を構想するための、戦略思考と原理原則思考ができる人材を増やす必要があります。3.11以降見えてきたのは、本質をつかまないうちに、目の前のアクションに飛びつくことで、「やったつもりに」なっている、本質からずれた日本人の姿です。何かしているだけいいように思いがちですが、むしろ、やったつもりになっている分だけ、実は問題を「消費」しているだけに陥ってしまいやすい。

行動する前に、事の本質を原理原則に戻って考える思考習慣がないと、動いても動いても、問題が逃げていく現状を変えることはできません。「真の戦略思考思った人材」を育てることに、残りの人生を賭けていく気持ちが強くなってきました。<おとなの社会科>をそのための場としてさらにパワーアップしていきます。真の思考力、世界を見るちからのある人になりたい方に、さらに集まってもらいたいと思います。

(2)【エネこみ】は来年の総選挙に向けて行動する

現在の民主党政権は2009年の総選挙で政権を取ったものの、志を実現できずに自壊しました。2013年、来年には任期満了になります。エネルギー問題、放射能問題、復興問題などに合理的に立ち向かっていくためには、次の国政選挙が非常に重要です。

どのような形になるかは、今年後半に向けて、政党再編の形で現れてくるでしょう。その時に、真に合理精神と戦略指向を持ち、エナジーシフトや復興を進める政治グループ(政党)が登場する必要があります。【エネこみ】は、この新しい政治的極を作るために、活動していきます。と言っても、自ら政党を作るようなことはしません。一般市民が自らの考えをもとに、政党を選び、政治家に仕事をさせるという思考習慣を作り、それにふさわしい政治家を見極め、支援することがねらいです。

(3)論理思考は<おとなの社会科>との融合をめざす

これまでロジカルシンキング研修の標準的な研修を中心に提供してきました。今年もそれも続けることになるでしょうが、カリキュラムは次第にリニュアルし、<おとなの社会科>企業研修との融合をめざします。

また、方向として、若手より、中堅からマネジャークラスに向けて、真のリーダー育成につながる人材育成に軸足を移していくつもりです。

一例として、先日、ある食品メーカーで行った<おとなの社会科>セミナーが参考になります。「食とグロバリゼーション」というテーマでワークショップを行ったのですが、「遺伝子組み換え食品と農業」「スローフード運動」「淡水資源」など、この分野の基本的な情報を理解してもらうことからはじめて(世界と歴史、メカニズム)、それを理解すると、自社の未来はどのような方向が見えてくるのかという点まで議論することができました。

同じアプローチは、化学メーカー、自動車メーカーでも行い、いずれも大きな手応えを感じています。戦略のための戦略ではなく、社会のメカニズムに根ざした、あるべき戦略、世界のための企業の戦略をつくれる人材の育成に力を入れていくこと、そのために論理思考が使える人材を増やすことを、目的にしていきます。これは、実は<おとなの社会科>、【エネこみ】ともまったく同じゴール感であり、ライスワークとライフワークを分けることなく融合することを、これからの目標においていこうと思っています。

(4)情報発信力を上げる

上記を行うためにも、僕自身の思想を知る人をふやし、共感者を広げる必要があります。情報発信力を高め、忙しくても、コンスタントに発信することを今年、自分に課していきます。

(5)写真、音楽

写真は、引き続き、フィルム写真にはまっているので、ますます楽しんでいくつもりですが、発信のとっかかりのビジュアルとして、どんどん使っていくつもりです。これまでは内容と関係のあるビジュアルを心がけてきましたが、今年は内容とはあえて関連づけない、飛躍したビジュアルで引っ張るつもりです。

音楽は、しばらくは唯一の「趣味」として、楽しんでいくことになりそうです。あえて他の仕事との関連をつけず、純粋に弾くことを楽しんでいく。No Reason、気持ちよく弾き、気持ちよく聞けることを大切に、心の栄養として楽器を手元に置くことをめざします。

ということで、こうして書いてみると、去年も今年も盛りだくさんです。

原発や政治の状況、日本の未来を考えると、とても希望に燃えた発言はできないのですが、笑顔と明るさは忘れずに、今年もみなさんとともに進みたいと思います。これまで以上に、共感と、結集をお願いします。

 

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